法華経の美術 仏涅槃図 命尊筆  絹本着色 鎌倉時代 正中2年(1325)  妙法寺 兵庫県丹波市  竹内正道著作集
仏涅槃図 命尊筆 絹本着色 鎌倉時代 正中2年(1325年) 妙法寺蔵 兵庫県丹波市

  竹内正道著作集  
仏涅槃図 命尊筆
  おんなと生きもの  鎌倉仏教と女性  法華経の美術  大仏師法眼命尊の涅槃像  

Arts of the Lotus Sutra
Death of the Buddha by Myoson
 
       
   
 
     


 
 

2007.1.23

 

おんなと生きもの
 Women and creatures 

 

 

「おんなと生きもの 十選 ◇10」

 

 今回、十枚目の絵に選んだのは、鎌倉期の命尊の作、『仏涅槃図』だ。私の想う動物画の究極はこれである。

 

 絵の中央には巨大な仏身、釈迦が横たわって入滅の刻を待っている。そばにいる菩薩たちは祈り、弟子や在家の人々、動物たちは嘆き悲しんでいる。

 だが仏の死は永遠の生を証すことでもある。それでこの涅槃図は悲劇と共に荘厳・恍惚の絵でもある。夜更け、電灯のあかりの下にこの図録を置き、拡大鏡を当てて覗いていると、人はむろん、動物の表情の一つ一つがじつにいい

 

 絵の下方に控えた獅子や馬や牛や犬や兎豹や猪や猿や亀や孔雀や、その他大勢の鳥たち。中でも目を引くのが、地に仰向けにひっくり返って号泣している白象だ。

 レンズの光にさらされた象の泣き顔を見ていると、けものの慟哭の声が耳に流れ入るようだ。

 動物の姿のない冷え冷えとしたキリストの死と較べ、釈迦の死の場面は賑やかで暖かく、一抹のおかし味も漂う。

 

 さてこの絵で女はどこにいるか? 絵の上の方、空である。この巨きな人の子を産んだ女性、摩耶夫人が雲の上から見守っている。天と地に分かれ、女と生きものはこうして一枚の絵に描き込まれているのである。

 

     (一三二五年、絹本着色、一〇九.二×八〇.四センチ、兵庫・妙法寺蔵)

 

 小説家・村田喜代子

 

日本経済新聞 2007年(平成19年)1月23日【文化】

 

 

    1.ルソー  「眠れるジプシー女」    ニューヨーク近代美術館
    2.ブールデル  「横たわるレダ」    ブールデル美術館
    3.ギュスターヴ・ドレ  「赤ずきん」(ペロー童話集挿絵)
                         トロースドルフ絵本美術館
    4.奥山民枝  「犬になった日」    個人
    5.シャガール  「ヴァヴァのために」    個人
    6.クリムト  「金魚」    ゾロトゥルン美術館
    7.斎藤真一  「青い鳥」    個人
    8.パウラ・レゴ  「Snare」    ブリティッシュ・カウンシル
    9.鴨居羊子  「用心棒もしくはひも(A)」    個人
   10.命尊  「仏涅槃図」    兵庫・妙法寺

 

 

 

 

 




 

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